次世代薬理学セミナー要旨集
Online ISSN : 2436-7567
2023 沖縄
セッションID: 2023.2_AG-2
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iPSCs-based disease modeling, drug screening, clinical trials, and reverse translational research for ALS
*森本 悟
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抄録

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、RNA結合タンパク質であるTDP-43の異常局在や蓄積を特徴とする神経難病である。我々は、ALS患者iPS細胞由来運動ニューロンおよび既存薬ライブラリーを用いることで、ALS運動ニューロンにおけるTDP-43の異常および細胞障害を改善する薬剤として、ロピニロール塩酸塩(パーキンソン病の治療薬として用いられている、ドパミンD2受容体アゴニスト)を同定した(ドラッグリポジショニングおよびiPS細胞創薬)。さらにロピニロール塩酸塩は、孤発性ALS患者モデルの約70%程度の効果を示すことも併せて確認した。また、トランスレーショナルリサーチとして、ALS患者に対するロピニロール塩酸塩を用いた医師主導治験(ROPALS試験)を実施し、その安全性と忍容性、さらにはALS患者の運動機能を改善する効果を確認した。これにより、iPS細胞創薬の臨床PoCを取得し、TDP-43の恒常性を維持することの臨床的意義が示された。しかしながら、当該試験において、ロピニロール塩酸塩に対するresoponderとsuboptimal responderの存在が明らかとなった。そこで、リバーストランスレーショナルリサーチとして、全治験参加ALS患者からiPS細胞を樹立、運動ニューロンを作製してロピニロール塩酸塩を処置したところ、in vitroにおいてもresoponderとsuboptimal responderが存在し、それらは由来患者の薬剤反応性と良く相関することが明らかとなった。さらに、疾患進行や薬剤の効果を反映するサロゲートマーカーとして、ニューロフィラメント軽鎖(NF-L)や過酸化脂質を同定した。これらの結果により、ROPALS試験は、ヒト疾患iPS細胞を用いたモデリングや創薬に対する試金石と言える。

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© 2023 本論文著者
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