次世代薬理学セミナー要旨集
Online ISSN : 2436-7567
2024 東京
セッションID: 2024.2_AG3
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中枢-末梢連関による自閉スペクトラム症の病態制御
*植田 尭子村松 里衣子
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抄録

要旨本文:自閉スペクトラム症 (ASD) は社会的コミュニケーションにおける困難や、興味の限局を主徴とする発達障害群である。近年大規模なシークエンス解析が進められており、その発症には遺伝的要因が大きく寄与することが明らかとなりつつある。ASDとの関連が示唆される遺伝子には、脳のみならず末梢臓器で機能する遺伝子も含まれる。脳や脊髄からなる中枢神経系は、血液循環や神経経路を介して末梢臓器と相互作用しているため、末梢臓器におけるASD関連遺伝子の機能不全がこのような経路を介して脳機能を制御する可能性が考えられる。しかし、ASD関連遺伝子の機能解析は脳内細胞に限局しており、末梢由来の病態制御機構については知見が乏しい。我々はASDモデルマウスと野生型マウスの並体結合実験から、ASD関連症状が末梢環境により制御され得ることを見出した。このメカニズムについて、末梢臓器由来の液性因子の血中変化を、脳血管内皮細胞が感知することでASD関連症状を誘導する機序が存在することが示唆された。これらの結果をもとに、ASDを含む中枢神経疾患の治療標的としての末梢由来因子の有用性・妥当性を議論したい。

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© 2024 本論文著者
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