2019 年 30 巻 p. 1-16
2008 年、若手看護師が過労死認定される事件が相次ぎ、同年の日本看護協会の調査では、23 人に1人、約2 万人の看護師が過労死危険レベル(残業時間が月60 時間となった判例から)で働いている(特に経験の浅い20 代の看護師)ことがわかった。勤務時間インターバルは、ホワイトカラー全体では、11 時間未満が10.4%、教員が26.3%だが、日本看護協会によれば、2 交代制、3 交代制勤務の看護師は、3交代制ではインターバルが実質4 時間、2 交代制の場合、80%以上の看護師が15 時間以上、 17 時間の長時間夜勤を行っているなど、シフトが厳守されないことによる長時間労働を行っていることが示された。 そこで、看護師の過労(死)は、なぜ、生まれるのか。長時間労働は、いかにしてなされるのか。また、サービス残業の問題などを看護師の働き方を時間から考えることで新たな視点を示したい。というのは、看護職の時間外労働による過労が常態化し、それに見合った手当がなされていないこと、それ以外にも、看護職本来の業務以外に行うことが自明視されていることが看護職にとっての大きな負担となっているからである。それでは、なぜこのようなことが起きているのかということについて、いくつかの視点から考察したい。