日仏社会学会年報
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論文
レユニオン島における黄ベスト」運動と暴動について
長谷川 秀樹
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2019 年 30 巻 p. 101-110

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抄録

2018 年11 月以降フランス各地で発生し、その後先鋭化した「黄ベスト(Gilets jaunes)」は、12 月以降、日本など海外でも報じられるようになる。 一方、11 月中旬時点で黄ベストが最も先鋭化したのは、パリから数千キロ離れたインド洋に位置する海外県レユニオン島であった。だが、11 月下旬、海外フランス領土政策を統括する海外担当大臣がレユニオン島に赴き黄ベスト側と対話したことで、大規模な道路封鎖など可視的な行動は沈静化する。同時期、仏本国での同種の抗議活動は大規模化し、報道等により世界的に知られる事象となったのは周知のとおりである。フランスではたびたびデモや市民による集団抗議行動が生じるが、同種の事象が同時期に海外フランス地域で見られることは今までなかった。今回、なぜ黄ベスト運動が同時期にレユニオン島で見られたのか、またそれは本国で2019 年3 月時点も続いている黄ベスト運動と同一であるのか。これらについて先行研究の論述や、現地紙の報道を手掛かりに考察したい。

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