日本印刷学会論文集
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平版用亜鉛板のぬれに関する研究 (第2報)
佐藤 富士達尾花 光雄
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1964 年 7 巻 18 号 p. 62-76

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抄録

この実験では, 研摩機で砂目立てを行なった亜鉛板に水, ワニス, 解墨を滴下してその接触角を測定した。そして次のような項目について調べた。
1. 砂目の形状差 (6.3μ, 9.7μ, 12.1μ, 14.5μ, 16.1μ, 18.8μ) はぬれに影響を与えるか。
2. 研摩潤滑剤 (重クロム酸塩の溶液) はぬれに影響を与えるか。
Table 1 Specification data of Braining machines
Table 2 The state on zinc plate which was grained by graining machine of fixed type
3. 整面液 (硝酸-カリミョウバン液, 硝酸-クロムミョウバン液) はぬれに影響を与えるか。
4. 整面液の単独成分液 (カリミョウバン, クロムミョウバン, 硝酸) はぬれに影響を与えるか。
5. 酸 (硝酸, 硫酸, 塩酸, 氷酢酸) はぬれに影響を与えるか。
ぬれの測定結果はFig. 1-15に示される。
Table 3 The state on zinc plate which was grained by graining machine of suspended type
Table 4 Profile
以上の実験から, 私達は次のような結果を得た。
1. いろいろな砂目において, ワニスはあらさに無関係に同じぬれを示し, 水, 解墨はあらさと一定な関係もなくまちまちである。
2. 研摩潤滑剤に重クロム酸塩を用いると水, 解墨のぬれに影響がある。しかし, ワニスのぬれには影響がない。なお, あらさにも影響がある。
3. 研摩後の亜鉛板に整面液や酸を作用させると, 水のぬれは非常に良くなる。しかし, 解墨のぬれは悪くなる傾向がある。ワニスのぬれはほとんど変わらない。
4. 整面液の硝酸-カリミョウバン液と硝酸-クロムミョウバン液とを比べると, 水, 解墨のぬれは後者が良く, ワニスのぬれは前者が良い。
5. 整面液の単独成分液のぬれにおよぼす影響は, だいたい整面液の場合と同じであり, 水のぬれでは硝酸が一番良く, カリミョウバンが一番悪い。解墨のぬれではぬれの大小ははっきりしない。ワニスのぬれではカリミョウバンのぬれが悪く, 硝酸とクロムミョウバンはほとんど同じぬれを示す。
6. 酸のぬれにおよぼす影響は, やはり整面液の場合と同じであり, 水のぬれでは硝酸が一番良く, 氷酢酸が一番悪い。解墨のぬれでは硫酸が良く, 氷酢酸が悪い。ワニスのぬれでは氷酢酸が悪く, 他はそれほど変わらない。

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