日本印刷学会論文集
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砂目のあらさと表面積と密度について
尾花 光雄
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1964 年 7 巻 18 号 p. 76-91

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抄録

砂目の表面積と密度をあらさ曲線から算出できないか試みた。砂目1個の山は円すい形であると仮定して, 中央線平均あらさHave (HCLA) の考えを導入して, あらさ曲線の断面積を求め, 次いで密度をあらさ曲線から読みとり可能な砂目の山の数とし, 等高な円すい形の配列に修正して表面積を求めた。できれば, 実測値と比較して裏付けをしたい。
次に, その算式をあげる。
表面積……1,495.24×√275,625+n2(Hmax)2+215,000 (μ2) 密度……4n2 (注) n…………1,000μの長さにある読みとり可能な砂目の山のみの数 Hmax……砂目の最大の高さ
この計算式を用いて, 高さ5.8μ-18.8μまでの砂目22種類の表面積と密度を求めた。また, そのうちの6.3μ 9.7μ, 14.5μ, 18.8μの4種類の砂目を選んで整面液 (硝酸-カリ明ばん液, 硝酸-クロム明ばん液), 整面液の単独成分液 (カリ明ばん液, クロム明ばん液) あるいは酸 (硝酸, 硫酸, 塩酸, 氷酢酸) についてそれぞれ1分間と2分間浸せきして整面した場合の砂目の高さと表面積と密度の変化について調べた。
その結果, 次のような結論を得た。
1. あらく深い砂目は, 細かい砂目よりも表面積は大きい。しかし, 密度は逆である。
2. 研摩潤滑剤で重クロム酸水溶液である場合には, 高さと表面積は水の場合よりも減少する。しかし, 密度は必ずしも減少するとはかぎらない。
3. 整面液, 整面液の単独成分液あるいは酸で1分間整面処理した砂目の高さ, 表面積, 密度は整面前より減少する。しかし, 2分聞になると, 硝酸を含む整面液で整面処理した砂目の高さを除き, みな増大する。

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