抄録
大学生418名を対象に、次世代育成意識(養護性、次世代育成力)と家族要因(きょうだい地位、親への信頼感)、および、性別の関連について検討した。性別、年下きょうだいの有無、および、クラスタ分析によって抽出された親への信頼感パターンを独立変数、養護性尺度得点(4領域)と次世代育成力尺度得点(4領域)を従属変数とする3要因分散分析の結果、次の点が明らかになった。女子、および、年下きょうだいがいる男子の場合、次世代育成意識が高くなる領域が確認された。この結果から、女子に対する社会・文化的な性役割の期待や女子のライフサイクルの影響、および、男子における日常的な養育体験の効果が示唆された。親への信頼感の高さは次世代育成意識全般における高さと関連し、親との関係性が次世代育成意識に全般的に影響を与えていることが示唆された。しかし、女子においては、親への信頼感が低い場合であっても、男子より高い次世代育成意識を示す特異なパターンが認められ、女子の有するレジリエンスが示唆された。