日本文学
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「年代記」の制覇 : 『細雪』の一側面
塩崎 文雄
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1987 年 36 巻 12 号 p. 22-32

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抄録

谷崎潤一郎の『細雪』は「旧家の没落と戦争の始まり」といった<不可逆的な時間>が年ごとの花見に代表される歳事的なもの=<循環する時間>を制覇する物語として読まれてきた。だが、そうした近代的思惟の常識を顛倒する試みとして、『細雪』を捉え直すことができるので、その徴証として『細雪』における年代記的記述の稀釈化の問題はある。しかも、その問題は「時局」といった<天皇制>の一露頭とも厳しい緊張関係をもったのである。

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© 1987 日本文学協会
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