日本文学
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対話様式作品論序説 : 『聞持記』をめぐりて(<特集>中世・言談の時空)
阿部 泰郎
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1988 年 37 巻 6 号 p. 54-70

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抄録

或る事柄を表現しかつ主張するために、対話(問答・雑談・巡物語などの言談)の形態(フォルム)を用いて、仮構の場(時空)と媒介(問者-答者-話者-聴者-記述者)による世界の設定の許に叙述されたテクストを、いま"対話様式作品"と呼ぶ。『大鏡』以下の著名な作品の前提として、この様式が成立し展開する基盤としての、中古仏教教学とそのテクストの方法に言及し、具体例を、中世初頭の仁和寺における守覚法親王周辺と覚印阿闍梨著『聞持記』について検討する。

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© 1988 日本文学協会
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