北九州大学
1989 年 38 巻 11 号 p. 11-25
(EndNote、Reference Manager、ProCite、RefWorksとの互換性あり)
(BibDesk、LaTeXとの互換性あり)
延慶本平家物語巻四には特異な趣向が目につく。その一は、諸本の殆どが巻三の中宮御産と関連付ける大塔建立説話を、高倉院の厳島参詣と関係付けていること、その二は、一連の頼政・以仁王挙兵譚の締め括りに頼政の挙兵由来話を置くこと、その三は諸本にはない登蓮説話を月見説話の後に掲出すること、その四は、諸本の多くが巻五に分載する都遷、物怪、青侍の夢、早馬、燕丹説話などを取り込んでいることなどである。本稿では、こうした趣向が如何なる構想によって支えられているか検討した。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら