1989 年 38 巻 12 号 p. 55-67
生徒が書いた詩を教室で読み合うことは、生徒相互の対話を活性化するばかりでなく、詩のもつすぐれた<表現>に眼を向けさせることで、「もう一人の自己」との対話を成立させる契機になり得る。生徒に詩の「批評」とその「感想文」や「作者の言葉」を書かせて読み合うことは、そのような対話を成立させるための有効な手段である。なお、生徒作品であるがゆえにもつ詩教材としての限界性を考慮して、須貝氏の言う通時的発見につらなるような教材を発掘することが今後の私の課題となろう。