立教大学
1993 年 42 巻 12 号 p. 1-10
(EndNote、Reference Manager、ProCite、RefWorksとの互換性あり)
(BibDesk、LaTeXとの互換性あり)
枕草子「大進生昌が家に」の段は、中宮定子の悲惨な行啓という歴史的事実を、虚構によって隠蔽するのではなく異化することによって、章段という空間を、定子を中心とする新たな<場>として変容させている。身体性が希薄である定子は、象徴的な境界である「門」を通過することによって、現実から離脱した中心的存在に変貌を遂げる。そのような定子によって統轄される<場>を生み出すのが、枕草子の本章段なのである。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら