日本文学
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スサノヲの泣哭 : または、声とことばと(<特集>古代文学と身体)
森 朝男
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1994 年 43 巻 6 号 p. 1-9

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抄録

スサノヲの神の泣き声は、神話論的にいうと、生命・善・秩序などを象徴するアマテラスには解読しにくい、言語(意味)以前の声であり、アマテラスの勝利は言語の声に対する勝利である。言語は身体と深い関わりを持ち、声や音からオノマトペを経由して言語に編成される。その過程には絶えず声をことばに置き直す営みがあり、そこに比喩の起源がある。短歌の上・下句の重ねは、そのような声とことばの関係を模倣的に実験する仕掛けである。

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© 1994 日本文学協会
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