早稲田大学高等学院
1995 年 44 巻 7 号 p. 56-66
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『大平記』は、<物語>というイデオロギー装置を使って、<歴史>をきまじめに語りながら、不意に<物語>を機能不全に陥らせて、<物語>のイデオロギー性を露呈させ、<歴史>を語る事の不可能性・欺瞞性を自ら暴露して見せる。その反共同体的な姿勢が、『太平記』の真のラジカルさであり最大の魅力である。『太平記』は、自己の意識・自己の世界・共同体の秩序を問題化する批判的自意識を養う場となり得るテキストである。
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