日本文学
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異性装と御釜(<特集>中世における「聖なるもの」)
西山 克
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1996 年 45 巻 7 号 p. 46-56

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抄録

禅僧大極の日記『碧山日録』応仁二年一一月一九日条には、釜鳴りを鎮める作法-釜鳴法-が書き記されている。なかで興味深いのは、異性装によるトランス・ジェンダーにより釡鳴りが鎮まるとする法である。なぜ、異性装により釜鳴りが鎮まるのか。またこの釜鳴法が、現代日本の下位文化において語られるオカマという隠語と、どのように関わるのか。日本中世の女装者である持者の存在をも視野におさめながら、聖なるオカマを論じ、インドの両性具有者ヒジュラを遠望してみたい。

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© 1996 日本文学協会
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