筑波大学大学院
1998 年 47 巻 12 号 p. 1-9
(EndNote、Reference Manager、ProCite、RefWorksとの互換性あり)
(BibDesk、LaTeXとの互換性あり)
特異な歴史記述である「鴎外史伝」の成立を大正二年とするのにはいくつか問題がある。本稿では、鴎外の啓蒙的翻訳編述ではない伝記のうち、最も早い『西周伝』が成立した明治三十一年前後の、鴎外の歴史記述理念を考察した。その結果「鴎外史伝」とは、明治二十年代末から三十年代初頭の経験論的美学及び時代状況にジャンル・様式ともに深く影響された、鴎外の当時からの美学的理念と、その変形を構成原理に持つものと結論した。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら