日本文学
Online ISSN : 2424-1202
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西鶴「会話文体」の遠近法(<特集>近世・残響する<音・声>)
中嶋 隆
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1999 年 48 巻 10 号 p. 1-8

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抄録

『好色五人女』で先鞭をつけた西鶴の会話表現は、『世間胸算用』『西鶴置土産』で、<状況>を集約しつつ、現実を再構成する様式として定着した。その特徴は、地の文との区別があいまいな、結節部の役割をもつ部分があることと、「入れ子」型の会話が多用されることである。そして、話者は、作者と作中人物との視点をもった、重層的性格をもつ。これらの特徴は、西鶴の文体が、「はなし」を内在することによってもたらされた。

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© 1999 日本文学協会
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