日本文学
Online ISSN : 2424-1202
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為朝渡琉譚のゆくえ : 齟齬する歴史認識と国家、地域、そして人(<特集>琉球・沖縄文学と国家)
渡辺 匡一
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2001 年 50 巻 1 号 p. 19-27

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抄録

保元の乱の敗将、源為朝が琉球国に渡り、子息舜天(尊敦)が琉球王国の人王の初めとなる物語(為朝渡琉譚)は、島津氏の琉球侵略、明治政府による「琉球処分」に至るまで、大きな影響を与えてきた。本稿では、中世後期から近世前期を中心に、日本・琉球王国それぞれが提示する為朝渡琉譚を検討し、両国間の王統、歴史認識の差異を見いだしていく。琉球王国の異質性をこともなげに同化し、領土化していく日本のあり方は、「地域の時代」を標榜する現代においても、看過できない問題を投げかけているように思われる。

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