日本文学
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柏木物語の引用的表現とその歪み : 「帝の御妻をも過つたぐひ」の像と柏木
室田 知香
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2007 年 56 巻 12 号 p. 11-24

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抄録

『源氏物語』の所謂第二部における、柏木の恋に関わる物語には、『伊勢物語』の業平の像を思わせるような一連の類同的表現群や、恋ゆえの離魂と死を思わせる表現など、多数の引用的表現が用いられている。が、こうした表現群にはしばしば、一種屈折した論理が伴われ、柏木をただ既存の物語伝統に添う恋の英雄に重ねきるのではなく、しだいに柏木像との間の分裂を露呈するものとなっている。その過程の考察を通し、第二部の叙述の性質と展開原理とを問い直す。

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© 2007 日本文学協会
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