早稲田大学大学院
2007 年 56 巻 9 号 p. 43-52
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室生犀星の小説「香爐を盗む」は、女性の嫉妬心による神経の異常が幻視・幻聴を来す様が描かれている。犀星が変態性欲作家と称されていた一九二一年前後、犀星は変態性欲だけでなく変態心理学全般に関心を寄せており、その関心がこの時期の小説を生み出していたのである。この時期の犀星の小説を支えていた感覚描写によって描かれた変態心理は、同時代や後の作家たちと比べて独自の、先駆的な感覚表現となっているのである。
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