名古屋大学大学院
2007 年 56 巻 9 号 p. 53-64
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大正期文壇人たちは、「変態」概念を同時期に流行していた天才論と接続させるかたちで消費してゆく。そうした解釈により、「変態」概念は「芸術家」の特権性を絶対化し、彼らの社会・文化的ヘゲモニーを強化する<装飾具>へと再構築されていった。文壇人を取り巻く「民衆」の台頭という時代潮流と併せて考えれば、彼らの「変態」概念消費とは、そこで揺らぐ「芸術家」の象徴的地位を巡る闘争の一端を担っていたと考えられよう。
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