日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
特集・インターテクスチュアリティの中世
女子用書簡文範の鼇頭と軍記物語
—『通俗書簡文』を手がかりとして—
榊原 千鶴
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2011 年 60 巻 7 号 p. 44-52

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抄録

明治期に多く作られた女性向け書簡文範のなかには、中世の軍記物語を素材のひとつとするものがある。たとえば、樋口一葉晩年の作品として広く読まれた『通俗書簡文』では、一葉による本文とは別に、鼇頭が設けられている。両者は乖離することなく、書簡文範というひとつの世界を創造した。その世界で軍記物語は、どのような役割を果たしたのか。本稿では、近代における中世文学の再生の意味を、戦時下での女性像という面から考えた。

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