日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
特集・文学にとって虚構とは何か
『平家物語』の「愛の物語」
大津 雄一
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2012 年 61 巻 1 号 p. 23-33

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抄録

『平家物語』は、「愛の文学」として語られることがあるが、その実態について分析検討した。『平家物語』は、同じような構造、設定、表現を繰り返し用いて、愛について執拗に語る。しかし、必要に応じて語られる、愛を肯定する物語と妄念として愛を否定する物語とが交錯して、私たちを混乱させる。その結果、このテクストは、私たちに愛についての思考を促し、さらには、物語という虚構装置の外へと私たちを誘う力を持つことになったと論じた。

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© 2012 日本文学協会
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