日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
特集・序・跋を問いなおす――中世文学史への回路――
『太平記』「序」の機能
和田 琢磨
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 61 巻 7 号 p. 55-65

詳細
抄録

『太平記』の「序」は物語のなかでどのような働きをしているのか。この問題について考えた。『太平記』には儒教思想や仏教思想など複数の思想が存在している。そのなかにあって、なぜ儒教思想が「序」として置かれているのか。研究史を整理しつつ考察を加えた。その結論、「序」は現世の政道を見つめる『太平記』の性格を象徴するもので、作品構造の枠組みを明示するとともに、現世を映し出す機能をも果たしているのではないかという結論に至った。

著者関連情報
© 2012 日本文学協会
前の記事 次の記事
feedback
Top