日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
特集・発禁・検閲・自主規制
石川達三「生きてゐる兵隊」筆禍事件
――一九三〇年代における日中検閲の諸相――
尾西 康充
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 64 巻 11 号 p. 25-35

詳細
抄録

石川達三は、中央公論社特派員として、陥落後の南京にでかけ、京都第16師団津歩兵第33連隊の兵士に、直接取材した。凄惨を極めた戦闘では、婦女子への暴行や一般市民の虐殺などがみられ、達三はそれらの事実を小説「生きてゐる兵隊」のなかに描いた。しかしすぐに発禁処分となって、作家本人も新聞紙法違反に問われることになった。一九三〇年代の検閲の諸相を、中国の状況をふまえながら論述する。

著者関連情報
© 2015 日本文学協会
前の記事 次の記事
feedback
Top