日本語教育
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寄稿論文
日本語社会における言語行動のバリエーションと日本語教育
杉戸 清樹
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2007 年 134 巻 p. 18-27

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抄録

 言語表現形式にバリエーションがあるのと同様に,言語行動にもバリエーションがある。それは,だれが,だれに対して,いつ,どこで,どんな内容で,どんな目的で,どんな媒体を用いて,どのような言語形式を用いて行うかという,言語行動の構成要素にまつわる多様性として,現実の言語行動を成り立たせている。また,そのバリエーションには,「価値・目標」が備わっており,その選択には人的な属性や場面・状況などが「条件」として働き,その選択の「判断基準」には言語行動意識が関与していると考えられる。今後の日本語教育では,こうした言語行動のバリエーションを,学習者の母語の言語行動との対照研究などを踏まえ,学習段階や学習目的に応じて,積極的,的確に扱うことが必要である。

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© 2007 公益社団法人 日本語教育学会
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