2008 年 138 巻 p. 102-111
作文が苦手な学習者は「何を書けばよいか」が分からないことが多い。そこで筆者は「アイディアシート」という構想支援のためのタスクシートを開発した。このシートは,思考プロセスを書き込むことで思考を可視化し,発想を広げられるようになっている。研究目的は,アイディアシートを使った作文構想活動の効果を検証することであった。調査対象者は,実験群15人と統制群12人で,全て中国人学習者とした。まず,予備調査として両群に第一作文を書かせた。次に,実験群のみ10分間シートを使って構想活動を行った後,両群に第二作文を書かせた。アイディアシートの効果を調べるため2(実験群・統制群)×2(第一作文・第二作文)の2要因分散分析を行った結果,実験群で内容(論理的整合)得点の向上と,文節数の増加という効果が見られた。