日本語教育
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研究論文
自然会話に見られる「ダロウ」と「デハナイカ」の表現機能の違い
――用法上互換性を持つ「認識喚起」の場合――
張 恵芳
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2010 年 145 巻 p. 49-60

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抄録

 近年,「確認用法」諸表現形式の意味特徴と表現形式間の互換性の問題が盛んに論じられているが,主に単一の文が分析対象で,「確認用法」の対話の性質を重視する視点に欠ける問題点がある。本稿は,その下位用法の一つである「認識喚起」用法において互換性を持つ「ダロウ」と「デハナイカ」を取り上げ,両者の自然会話における表現機能の違いを考察した。話し手と聞き手のインターアクションに注目し,イントネーションも合わせて分析して,次のような結論を得た。「ダロウ」は必須の特定のイントネーションで聞き手に問いかけ,聞き手に情報の的確さについて確認するという機能を持っている。「デハナイカ」は下降調が多く話題と情報の提供に役立ち,またそのイントネーションを上昇調に変えることによって,話し手は聞き手とインターアクションを取りながら話を進めていくという姿勢を示す。この分析結果は両形式の意味特性と関連を持っている。

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© 2010 公益社団法人 日本語教育学会
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