2011 年 150 巻 p. 42-55
本稿では,グローバリゼーションの浸透とともに進展していく多言語化・多文化化の流れの中で,現代日本社会における日本語学習者の言語使用の一面を紹介し,日本語教育との関連性を考察する。まずポストモダニズムから生まれてきた接触場面の概念を整理したあと,次に積極的な接触場面への参加によって豊かな言語生活,ひいては生活全体の計画を実現しようとする日本語学習者の事例を紹介する。特に彼らの日本での言語生活を支えるのに重要な役割をもつ外国人同士による日本語使用の場面に注目し,そこからポストモダン社会としての日本における日本語教育の意義と可能性を考える。