日本語教育
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調査報告
留学生のための「経済の基礎的専門語」の有効性
小宮 千鶴子
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2014 年 157 巻 p. 47-62

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抄録

 本研究は,高校卒業程度の「経済の基礎的専門語」318語の専門学習における有効性の検討を目的として,経済関係学部の専門基礎科目の教科書3種を資料に,その使用状況を調査した。使用された184語は全体の6割強で,その半数強(異なり)を中学「公民」用語が占めた。「公民」用語は,延べでは全体の8割以上を占め,高校「現代社会」「政治経済」で初出の用語に比べて頻出し,基礎的専門語の中でも優先して学習すべき用語であることが判明した。

 「経済の基礎的専門語」を分野別に分けると,経済学用語が6割弱を占め,20以上の専門科目に対応した。専門基礎科目は専門科目群の一部で,資料に使用されるか否かは内容との関連で決まるので,他科目の資料に変えれば,不使用の用語が使用される可能性がある。

 それらの結果から,「経済の基礎的専門語」は,経済のさまざまな専門科目に対応し,「公民」用語を中心に使用され,経済分野の専門学習に有効といえる。

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© 2014 公益社団法人 日本語教育学会
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