日本語教育
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調査報告
日本語母語話者とシンハラ語母語話者の感謝場面における「人間関係」についての理解と感謝表現
――ロールプレイを中心に――
S.M.D.T. ランブクピティヤ
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2014 年 158 巻 p. 112-130

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抄録

 本研究では,日本語母語話者(JNS)とスリランカ人シンハラ語母語話者(SNS)が感謝の送り手と受け手の「親疎関係」及び「同位・上位関係」を基に感謝場面をどのように理解し,どのような感謝表現を使用するかを調べた。調査方法では,JNSとSNS,各10組ずつを対象に,「友達が忘れ物を渡す」,「見知らぬ人が忘れ物を渡す」,「友達の家を訪問する」,「先生の家を訪問する」という4つの場面でロールプレイを行ってもらった後,フォローアップインタビューに応えてもらった。調査の結果,SNSは感謝の送り手と受け手の関係が親しいと認識した場合,相手に距離を感じさせないように感謝の表出をしないことと,感謝の受け手が先生の場合,上位関係に対する尊敬の念を込めて感謝を表出することがわかった。一方JNSは,互いの関係性の「親疎」及び「同位・上位」という要素を認識してはいるが,どの場面においても感謝を「定型表現」で表出することがわかった。

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© 2014 公益社団法人 日本語教育学会
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