日本人教師,ロシア人教師,一般日本人各20名にロシア語母語話者の発音評価を求め,その評定値と,評価後のコメントを分析した。分析の結果,日本人教師は,ロシア語母語話者の典型的な発音特徴が見られた場合に評価が厳格化し,日本語母語話者にとっての異音が見られた場合に評価が寛大化した。一方,ロシア人教師は,ロシア語の単音やストレスアクセントなどのロシア語の特徴が見られた場合に評価が厳格化し,「ほんをよむ」が「ほのよむ」になるような,拍の減少と[n]が同時に見られた場合に評価が寛大化した。以上の結果をもとに,教師の評価特性について考察した。