日本語教育
Online ISSN : 2424-2039
Print ISSN : 0389-4037
ISSN-L : 0389-4037
研究ノート
拡張・精緻化のための読字能力の能力記述文試案作成
――CEFR/JFSの言語構造的能力を参考に――
伊藤 秀明
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 168 巻 p. 55-62

詳細
抄録

 日本語の多様な文字体系における読字能力の評価尺度の欠如は,学習者の動機づけや課題遂行型の試験の内容的妥当性に影響を与える。しかし,この読字能力の記述化については現在まで必要性が議論されてこず,CEFRやJFSなどの言語教育スタンダードにおいても読字能力が一体何を示すのか,具体的に示されてこなかった。そこで本稿ではCEFR/JFSの拡張・精緻化の観点を前提に,CEFR/JFS の他の言語構造的能力の能力記述文を参考に熟達度別の特徴を洗い出し,今後,拡張・精緻化を図っていくための熟達度別の読字能力の能力記述文の試案の作成を行った。本稿が示した読字能力の能力記述文の試案は今後の議論の余地を残したものであるが,現在までまったく示されていなかった読字能力の能力記述文を具体的に提示することで,より詳細な読字能力の調査・記述への貢献を目指した。

著者関連情報
© 2017 公益社団法人 日本語教育学会
前の記事
feedback
Top