日本国内外の日本語学習・教育は,様々な要因を反映しつつ多様な展開を見せている。その流れは,日本語教育人材の在り方についての課題とそれに対応する取り組みに直結している。文化庁審議会国語分科会が2018年に刊行した報告書「日本語教育人材の養成・研修の在り方について」は,日本語教育人材の養成・研修について,課題を整理したうえで,各段階の教育内容のモデルカリキュラムを提示している。
本稿では,それらの指針に基づいて養成される人材の職業的成長を段階別に認証する方法について検討する。結論として,教育人材の認証に関わる組織・機構の設立が必要であること,日本語教師の職業的成長を評価する公的認証のためには,教育内容に関する知識・技能・態度のみならず,実践現場を取り巻く環境への対応,社会的責任のあり方など,複眼的要因による総合的評価基準の策定が必要であることを提案する。