本研究は,コーパスと統計による客観性を重視した方法で語彙リスト (以下,「読解基本語彙1万語」) を作成することを目的とする。コーパスから語彙の頻度や分布を集計する場合,結果にはコーパスの特徴がそのまま表れる。そのため本研究では,まず,利用するコーパスが日本語教育のための読解基本語彙リスト作成に適したものかを検証し,コーパスを再構成した。そこから語彙を頻度集計し,複数の統計指標によって重要度を定量化し,語彙をランキングした。最後に,日本語教育の観点からランクの再配列と限定的な調整を行った。
このようにして作成した語彙リストを評価するため,テキストカバー率調査を行った。また,「読解基本語彙1万語」と『日本語能力試験出題基準』 (国際交流基金・日本国際教育支援協会編1994,2002年改訂,以下,「出題基準」) とのカバー率比較も行った。その結果,「読解基本語彙1万語」は「出題基準」に比べて高いカバー率を示した。
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