日本語教育
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調査報告
教師研修としての授業観察に対する現職日本語教師集団の目的意識
―日本語学校の常勤及び非常勤集団へのインタビュー調査の質的分析―
野瀬 由季子大山 牧子大谷 晋也
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2020 年 176 巻 p. 48-63

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抄録

 内省を通して実践を創造していく自己研修型教師としての日本語教師の養成・研修は喫緊の課題であり,その一手法として授業観察が存在する (岡崎・岡崎 1997)。授業観察の支援環境の構築を目指して,本研究では,国内の日本語学校で教師研修として実施される授業観察を対象に,観察者と授業者の授業観察への目的意識を明らかにする。日本語学校の常勤3名 (観察者) と非常勤3名 (授業者) に半構造化インタビュー調査を実施し,逐語録に対してSCAT (大谷 2019) による質的分析をおこない,授業観察に対する目的意識を,筆者らが作成した【評価志向型】【実践公開志向型】【内省共有志向型】の枠組みで考察した。その結果,各観察者/授業者は基本的に特定の志向型を軸に授業観察を捉えながらも,同時に別の志向型の要素を持ち合わせていたり,軸とする志向性を徐々に変容させたりしていくことが明らかになった。このことから日本語学校での役割や教師間の関係性を考慮した活動デザインの重要性が示唆された。

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© 2020 公益社団法人 日本語教育学会
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