近年外国人材の介護現場への参入が著しく進む中,言語学的な分析や教育実践,それらの成果から開発された教材は充実してきたが,彼らのコミュニケーション力については就労現場の文脈を切り取らない議論の成果が待たれる。それゆえ筆者は,介護現場におけるフィールドワークを通して外国人介護人材が専門職として,第二言語である日本語を使用しながら求められる「コミュニケーション力」について介護現場を担う人々の視点から探ろうと試みた。
本稿では研究の結果明らかになった,「現場の多様性を共有する力」,「チームの一員として目的意識を持つ力」,「ホスピタリティ等の精神力と非言語コミュニケーション力」に関してデータに基づいて具体的に述べる。その上で介護の専門性と第二言語コミュニケーションの視点から考察を加え,介護福祉士の先にあるキャリアをも見据えた日本語教育の役割について論じた。
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