2020 年 176 巻 p. 79-94
「LTD話し合い学習法 (Learning Through Discussion)」は読解の予習と小グループでのミーティングで構成された学習法である。これまで,日本語母語話者を中心に実施されているが,日本語学習者を対象にした場合の影響は明らかでない。そこで,本研究は,日本語学習者を対象にLTDを実施した場合,ディスカッション・スキルや協同作業認識にどのような影響を与えるかを調査した。その結果,ディスカッション・スキルについては,「場の進行と対処」,「積極的関与と自己主張」,「雰囲気作り」に肯定的な影響を与えることが明らかになった。また,協同作業認識については,「個人志向」,「互恵懸念」に肯定的な影響を与えることが明らかになった。一方,本実践では,日本語学習者を対象にLTDを実施する際の課題も見られた。本実践で生じた課題をもとに,LTDの手順,ディスカッションの使用言語,課題文選定に分けて整理する。