日本語教育
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調査報告
国内の大学における「学士力」の教育としての日本語教育の現状と課題
―教学マネジメント上の位置づけと実践事例の検討から―
松本 剛次
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2021 年 179 巻 p. 109-123

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抄録

 本報告は,国内の大学における日本語教育の現状について,「学士力」との関係から検討したものである。大学数,大学進学者数が増加した現在,大学には,「質の保証」が強く求められている。そしてその際の一つの指針となっているのが「学士力」という考え方である。

 国内における大学での日本語教育も,当然その例外ではない。しかし日本語教育の場合,その主な対象が日本語を母語としない留学生であるため,大学での教学マネジメントの観点からは,日本語教育を通しての学士力の育成という側面が注目されることはあまりなかった。しかし,近年では,学士力の育成につながる日本語教育の実践報告も増えてきている。本報告ではそれらの新しい動きを整理した上で,長年,大学における教学マネジメントの外に置かれていた日本語教育だからこそ,学士力の育成に関与しながらも,学士力というもの自体を批判的に再検討することが可能であるということを論じる。

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© 2021 公益社団法人 日本語教育学会
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