日本政府は2021年度から「留学生就職促進教育プログラム認定制度」を開始した。この制度は日本国内での就職率を3割から5割に向上させることを目指し,日本語教育,キャリア教育,インターンシップの3本の柱を掲げている(文部科学省,2022)。大学における留学生のキャリア教育は,この取り組みに応答することが求められるが,同時に制度が対象としていない多様な留学生が大学にいることに目を向け,そのニーズと大学教育の理念をくみ取りながら現場を豊かにしていくことが期待される。
本稿では,「留学生就職促進教育プログラム認定制度」を概観するとともに,多様な留学生がいる大学を事例として,大学における留学生のキャリア教育の現場づくりの可能性と課題を提示する。