日本語教育
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研究論文
中国語を母語とする日本語学習者の多義動詞の未知拡張義の意味推測の正確さ
―習熟度,拡張義の種類及び文脈情報量に着目して―
崔 暁文
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2023 年 184 巻 p. 81-96

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抄録

 本稿は,中国語を母語とする日本語学習者が多義動詞の未知拡張義の意味を推測する際,習熟度,拡張義の種類及び文脈情報量が推測の正確さに与える影響を発話思考法で実験的に検討した。分析の結果,(1)中心義との意味的関連性が高く,文脈情報量が多い場合,中位群程度の日本語習熟度があれば正しく推測できた;中心義との意味的関連性が高く,文脈情報量が少ない場合,半数の語が正しく推測され,上位群と中位群が下位群より得点が高かった;中心義との意味的関連性が低く,文脈情報量が多い場合,半数の語が正しく推測され,習熟度が上がるにつれて得点が上がった;中心義との意味的関連性が低く,文脈情報量も少ない場合,習熟度に関わらず推測が難しかった。また,習熟度に関わらず,(2)中心義と意味的関連性の高い拡張義は意味的関連性の低い拡張義より正しく推測できた;(3)文脈情報量の多い文では文脈情報量の少ない文より正しく推測できた。

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© 2023 公益社団法人 日本語教育学会
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