日本語の研究
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動詞アクセントの類推変化と式保存
新田 哲夫
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2005 年 1 巻 2 号 p. 48-53

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抄録
近世後期以降,京阪式アクセントで3拍動詞の類推変化が起きたが,京阪式周辺部方言では,一段動詞の方が五段動詞よりも変化の進行が早い現象がみられる。この変化の遅速に関して,「接続連用形」への類推の観点から説明を試みる。ここでの結論は,まず終止形と「接続連用形」で式の不統一が見られる一段動詞で変化が起きたが,それは同一語彙素の活用形どうしに働く「式保存」によること,次にこの変化によって五段動詞終止形が孤立し,核の不統一を解消する変化が起きたと推定した。また,「接続連用形」をめぐる問題に関連して,形容詞のアクセントにも触れ,動詞同様の類推変化の可能性が低い理由を述べた。
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