日本語の研究
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現代語の感動文の構造 : 「なんと」型感動文の構造をめぐって
笹井 香
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2006 年 2 巻 1 号 p. 16-31

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抄録
現代語の感動文の研究において感動文とされるのは,感動喚体句の形式をもっと考えられている文(本稿ではA型と呼ぶ)であり,「なんと〜だろう!」の形式による文は,多くの先行研究で疑問文の周辺にあるものと扱われてきた。しかし,本稿では「なんと〜だろう!」の形式による文の特徴として,(1)「なんと」は不定語としては機能していない,(2)「なんと」は属性概念を持つ語と体言の両方を要求するため,「なんと〜だろう!」の形式による文は必ず文中にコトを構成する, (3)「なんと」と共起する「だろう」等の判断辞は,判断辞としての意味の対立をもたず,その意味の変質に伴い接続形態も変化している,以上のことを明らかにした。さらに,「なんと」形式による文は,形式,表現ともにA型と対応していることを指摘し,感動文であることを述べた。
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© 2006 Author
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