日本近代文学
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雑誌『少女の友』詩欄の推移 : 口語詩・童謡・小曲・少女詩
藤本 恵
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2013 年 89 巻 p. 49-63

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抄録

日本の児童文学において、「少女詩」研究は長くなおざりにされてきた。本稿では、雑誌『少女の友』大正期の詩欄を中心に、調査と考察を行った。なぜなら、『少女の友』の編集方針が変化した重要な時期であるにもかかわらず、詩欄の研究が他誌と比べて特に手薄だったからである。結果、『少女の友』の詩は常に「感傷」という内容の拘束を受けながらも、長大で叙事的な「口語詩」から、簡潔で自己主張的な「少女小曲」(=「少女詩」)へ変化したことが明らかになった。その変化は、少女読者が詩の読み手から書き手になる過程と重なっている。また、この時期詩は、児童や民衆、女性といった階層に広がっていく。少女詩が他ジャンル同様その流れの一つを形成していることを示した。

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