2021 年 21 巻 2 号 p. 67-77
本研究では、表現運動・ダンス授業において教師が直面している困難さを把握し、課題解決に向けた対応策の手がかりとなる資料を得ることを目的とした。調査方法は新潟市内小学校、中学校体育主任を対象とした質問紙調査であり、表現運動・ダンス授業の実態、指導時における困難さ、ダンス授業・講習会等受講経験の効果と要望について尋ねた。その結果、小学校では3つのダンスが偏りなく採択されていた一方で、中学校ではリズム系に偏って種目採択されており、また小中学校の学校種および教師の熟練度を問わずリズム系が重点的に実施されていることが示唆された。指導の困難さにおいては総じて熟練指導者より未熟練指導者の方が困難さを多く抱えており、特に〈授業づくりや指導法に関すること〉の観点に含まれる技能評価の視点と授業の構成方法、児童・生徒に向けた言葉のかけ方等、授業中の子どもとの関わり方に苦手意識を感じていた。一方で熟練指導者は多様で自由かつ独創的な動きや即興的な表現を引き出すことに課題を抱いていることが示唆された。ダンス授業・講習会等受講経験の効果としては、教職に就いて以降の講習会の方が大学時ダンス授業履修経験より指導現場に活かされていると教師は感じており、指導法を学ぶ機会において教師は系統性のある学習課題や授業の単元構成に関する知識および実践方法を求めていることが示唆された。