日本化学会誌(化学と工業化学)
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Print ISSN : 0369-4577
総合論文
酸化的脱硫フッ素化反応—有機フッ素化合物の簡便合成と新規フッ素系液晶材料の開発—
蟹江 澄志黒星 学檜山 爲次郎
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2000 年 2000 巻 11 号 p. 749-761

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抄録

有機フッ素化合物の穏和かつ効率的な合成法として,有機硫黄化合物の「酸化的脱硫フッ素化反応」を開発した。この反応によれば,ジフルオロメチレン化合物,トリフルオロメチル芳香族化合物,トリフルオロメチルエーテル,およびトリフルオロメチルアミンなど,さまざまな有機フッ素化合物を容易に合成することができる。この反応は,基質の硫黄原子のみを選択的に活性化して行うため,望みの位置に高い官能基選択性で目的の含フッ素官能基を導入できる利点を有する。本論文では,酸化的脱硫フッ素化反応による有機フッ素化合物の合成法,その基質適用範囲,およびその反応条件について概説する。また,この反応を新規フッ素系液晶材料の設計·合成に活用し,得られた化合物の液晶相転移挙動および電気光学的特性を評価することにより,含フッ素官能基の材料特性を明らかにした。液晶表示材料としての有効性について概観する。

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© 2000 The Chemical Society of Japan
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