抄録
不均一系触媒のアルミナ表面上で起こる加水分解反応機構について検討した。
試料は,p-,o-置換ベンゾニトリルおよびp-,o-置換ベンズアミドであり,置換基としてメチル基,クロロ基およびニトロ基を用いた。アルミナ表面上に吸着している加水分解生成物を調べる方法として非弾性電子トンネル分光法を用い,得られたスペクトルから表面反応を解析した。
その結果アルミナ表面では,酸触媒反応機構によって,ニトリルがアミドを経てカルボン酸に加水分解されていることがわかった。また,p-メチルおよびp-クロロベンゾニトリルは,メチル基およびクロロ基の電子供与性によるメゾメリー(+M)効果のためにプロトン求電子反応が促進され,カルボン酸への加水分解が速やかに行われていることがわかった。これに対し,電子求引性基であるニトロ基が置換された場合,アミドおよび分子状のニトリルが観測されていることから,−M効果のために求電子反応が抑制されていると考察される。また,o-置換ベンゾニトリルにおいては,メチル基,クロロ基では立体障害のために加水分解が進行せず,アルミナ表面に吸着できないことが明らかとなった。