抄録
本研究は,生体材料の開発において必要となる細胞適合性評価試験に関し,培養技術水準および使用する細胞の毒性に対する感度をチェックするための細胞適合性評価試験用標準物質を検討することを目的としている。入手しやすく,直接培養液(培地)に極少量添加しても培地が変性せず,細胞増殖阻害反応が陽性(+)反応と陰性(-)反応を示す標準溶液の検討を目指した。市販されているICP分析用標準液を所定濃度になるように培養液に添加した。また,比較のためにバナジウムおよびニッケル粉末を用いた抽出により,金属イオンが溶出した抽出液を作製した。これらの培養液を培地としてマウス皮下線維芽組織由来L929細胞とマウス頭頂骨由来MC3T3-E1細胞を培養した。金属イオンを溶出させた結果とICP分析用標準液を添加した結果とが一致する結果が得られた。分析用標準液には,2-5%の硝酸が含まれるが,硝酸の影響は無視できることがわかった。よって,培養技術水準および細胞の感度をチェックするための細胞適合性評価試験用標準溶液として,市販されている米国SPEX社製ICP分析用バナジウムおよびニッケル標準液が利用できることが示唆された。