抄録
1-位に各種置換基をもつ2,5-Diphenylsilacyclopent-3-eneおよび2,5-Diphenylsilacyclopentane類の合成を検討した。
通常のマグネシウム存在下,(1E,3E)-1,4-Diphenylbuta-1,3-dieneと各種クロロシラン類のTHF溶媒中におけるone-pot反応により,1,1-ジアルコキシ,1-アルコキシ-1-メチル,1-アルコキシ-1-クロロ,1-アルキル-1-クロロなどの2,5-Diphenylsilacyclopent-3-ene誘導体を合成し,このうちジアルコキシ誘導体は収率80%程度で得られたが,1-アルキル-1-クロロ誘導体は50%以下であった。得られたシラシクロペンテン類はフェニル基の立体配置の異なるトランス体とシス体の異性体混合物であり,この異性体生成比から1,1-ジアルコキシ誘導体はトランス体が優先的に生成し,1-アルキル-1-クロロ誘導体はシス体のみが生成し,そのうちクロロ基がフェニルの反対側の立体配置のものが優先的に生成することがわかった。1,1-ジアルコキシ誘導体でトランス体が優先的に生成するには,酸素原子のマグネシウムへの配位が関与すると反応機構から示唆された。
得られた2,5-Diphenylsilacyclopent-3-ene類のPd-C存在下水素による還元により相当する各種置換2,5-Diphenylsilacyclopentane誘導体を生成した。