抄録
ザンドマイヤーシアノ化試剤として四面体型のテトラシアノ銅(I)錯体を用い,生成物の単離 · 精製方法として昇華を行うことで,一群のフッ素含有の多官能性芳香族化合物である4-ハロ-3-トリフルオロベンゾニトリル(1a–c)の効率的な合成方法が達成できた.相当するジアゾニウム塩から目的のニトリル1a–cへの変換反応においてシアン化銅(I)は目的のニトリルをよい収率で与えなかったのに対し,K3[Cu(CN)4],Na3[Cu(CN)4],およびK2[Cu(CN)4 · NH3]の3種の四面体型シアノ銅錯体がザンドマイヤーシアノ化試剤として有効であることがわかった.また,これらの錯体の中では銅(I)錯体の2種が銅(II)錯体に比べて高い収率で反応を進める傾向があることが確認された.ニトリル1a–cへの変換反応はSNAr機構で進行しているものと考えられる.